【第4話】夫のすべての嘘を暴いた秋。35歳、私は離婚を決意した

34歳秋、この時点でもう、夫の笑い声を聞くだけで、全身に嫌悪感が走るレベルになっていました。

真夏の親族会議で、夫は全員の前で「詐欺事件に巻き込まれたのは事実です」と言い切ったのです。

でも、そこには証拠なんて何ひとつありませんでした。

「……本当に詐欺なら、絶対にデータがあるはずだ」

私はふと、「あるデータ」にアクセスすれば、すべての真相がわかることに気づいたんです。

目次

すべての嘘を暴いた「数枚の紙」

「ちょっといいですか」

ある日、私はリビングで夫を正面から見据えて静かに言った。

「詐欺事件にあったとき、サラ金複数社から借入したんですよね?それぞれの会社の借入履歴やデータが残っているはずです。全社から、データを紙で今すぐ取り寄せてください」

夫は顔をこわばらせながら、

「……わかった」と言い、データを取り寄せました。

数日後、届いた複数社の借入履歴を突き合わせた瞬間・・・

私の中で長年のすべての謎が解けました。

……借入履歴の日付が、まったく一致していない。

数日単位のズレどころか、借り入れられた「年度」がバラバラでした。

もし本当に「詐欺事件」に巻き込まれお金が必要になったのなら、一括でまとまった金額を借り入れているはず。

なのに、データは不自然に年度をまたいでバラバラな記録。

「詐欺にあったなら日付が一致するはずですよね。……なんで年度が違うんですか?」

私がそう問い詰めると、夫は青ざめた顔で、観念したかのようにぽつりぽつりと吐き出した。

「申し訳ございません。おっしゃる通りです。……詐欺事件は、俺が捏造した嘘です」

夫の借金の真相とは…

本当の借金の理由は、

「ギャンブル」と「元カノに買った指輪のお金」でした。

ギャンブルは、よくないとわかっていたのに、止められませんでした。

スロットです。

元カノとは、君と出会う前に終わっていました。

それは嘘ではありません。
ただ、指輪があまりにも高額だったから、当時サラ金を使うしかなかった。

本当に申し訳ないです。

言うかどうかずっと悩んできました。

先輩に相談したら、「お前、それは絶対に言え…」と言われて…。

だから、伝えることにしました…。

冷え切った秋のリビング。

呆然としながら告白を聞いていた私の頭をよぎったのは、怒りではなく「やっぱりね」という冷めた納得だった。

同時に鳥肌が立ったのは、真夏の会議で母がボソッと言っていた言葉。

『別の女性に指輪でも買ったんじゃないの?』
……母の直感が恐ろしいほど当たっていた。

そして、なにより胸糞が悪かったのは、夫が私に語っていた言葉だ。

うちの親父はギャンブル癖があってさ。

お袋に悲しい思いをさせてきたんだ。

だから両親は離婚したんだ。

ギャンブルなんて絶対に良くない。

そんな善人面をしていた男が、影でコソコソ隠れてギャンブルをし、サラ金に手を染めていたのだ。

怒りすら湧いてこなかった。

妙に冷静な自分を感じながら、私は冷たく言い放った。

「わかりました」。

数日後、私は両親を蕎麦屋に呼び出した。

蕎麦をすすりながら「実は……」とすべての真相を打ち明けた時の、両親の凍りついた表情は今でも忘れられない。

実家のリビングで離婚宣言

そして間を置かず、私は離婚届を用意し、夫を実家に呼び出した。

「離婚しましょう」

単刀直入に突きつけた私に対し、夫は信じられない言葉を口にした。

「……考えさせてください」

…は????

ギャンブルに狂い、女の指輪を買った借金を隠し、
親の借金の肩代わりと嘘をつき、
詐欺まで捏造しておいて「考えさせて」???

どんな思考回路…

当然、問答無用で離婚成立です。

離婚届の証人欄には、私の両親が静かに署名してくれました。

実家で夫が離婚届にサインをしていた時、

いつもなら「ニヤァ〜」とまとわりついてくる実家の猫が、一歩も近寄ってきませんでした。

遠くの陰から、ただならぬ不穏な空気を察してじっとこちらを見つめていたあの光景が、妙に印象に残っています。

冬の風すら寒くなかった

そこからは、離婚手続きや荷造りなどを淡々と、ひたすら進めていった。

そして、役所に離婚届を提出した瞬間。

胸の中に広がったのは、「終わったぁぁあああ!」という解放感と、ぽっかりと穴が開いたような、なんとも言えない空虚感だった。

役所の自動ドアを出た時、吹きつけてきた冬の風。

あんなに冷たかったはずの風が、当時の私にはまったく寒く感じなかった。

こうして、私の5年の結婚生活は、静かに、そして完全に幕を閉じたのです。

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